コラム

2026年05月25日

 【情報不足じゃない!?】

系統用蓄電池の「収益が見えにくい」と言われる本当の理由

こんにちは!前回は、系統用蓄電池の議論が「4つの立場」の違いによってかみ合わなくなる!?というお話をしました。今回はさらに踏み込んで、社内の会議で

必ずと言っていいほど飛び出す「蓄電池って、結局のところ収益が見えにくいよね?」という悩みの正体に迫ります!

皆さんの会社でも、事業計画を作る際に「数年後の市場ルールがどうなるか分からないから、収益の計算ができない」と頭を抱えていませんか? 実はこれ、「私たちの情報収集が足りないから」ではないんです。収益が見えにくくなっているのには、大きく分けて2つの「ごちゃ混ぜ」が原因となっています。

 ①「長期のコスト」と「短期のルール」のごちゃ混ぜ

一つ目の原因は、全く違う「時間軸」が同じ事業計画の中に重なっていることです。

系統用蓄電池は、一般的に10年~15年にわたって運用する「長期資産」です。

そのため、設備を買ったり工事をしたりする「コスト」は、導入する最初の時点でガチッと確定します。 しかし一方で、蓄電池が稼ぐための舞台となる需給調整市場や容量市場などの「ルール(制度)」は、数年単位でどんどん更新され続けます。

つまり、「15年かけて回収しなきゃいけない固定コスト」に対して、「コロコロ変わる短期のルール」でお金を稼いでいかなければならない構造になっているのです。

そもそもルールが状況に応じて見直される仕組みになっている以上、「10年後の市場ルール」を今すぐ確定させることは誰にもできないのです。

 ②「確定収入」と「変動収入」のごちゃ混ぜ

二つ目の原因は、性質の違うお金をすべて「収益」という一つの言葉でまとめてしまっていることです。

現在の蓄電池ビジネスでは、複数の市場を組み合わせて稼ぐ「収益スタッキング」という考え方が当たり前になっています。

しかし、たとえば国の「長期脱炭素電源オークション」で得られる原則20年間の【確定的な収入】と、「需給調整市場」や「卸電力市場」で得られるその時々で変動する【市場に依存する収入】では、お金の性質が全く違います。これらが区別されないまま「収益」とひとまとめに語られると、ある人は「安定収入」だと思い、ある人は「変動リスク」だと捉えてしまい、見通しの感覚が合わなくなってしまうのです。

会議ですれ違う「収益」の意味

このごちゃ混ぜが、社内で大きなすれ違いを生みます。 経営層は「安定した確定収入」を期待し、事業部門は「複数市場を組み合わせた変動収入」で計画を立て、財務部門は融資を通すために「カチッとしたキャッシュフロー」を求めます。

みんなが同じ「収益」という言葉を使いながら、頭の中で描いているお金の性質がバラバラなのです。これでは、会議で合意したつもりでも、いざ実行する段階になって「話が違う!」となってしまいますよね。

まとめ「見えない」のではなく「分けて考える」

系統用蓄電池の収益は「見えない」のではなく、性質の違うものが混ざってしまっているから見通しが立ちにくくなっているだけです。

発電所であれ送電網であれ、数十年にわたるエネルギーインフラの投資において「将来の制度がどうなるか確定していない」のは共通の前提です。正解がないのではなく、「今はまだ確定していない要素がある」という現実を出発点にする必要があります。

次に社内で蓄電池の「収益」について話し合うときは、「今話しているのは、確定的収入ですか?それとも市場依存の変動収入ですか?」と、言葉の仕分けをすることから始めてみてください。

それだけで、モヤモヤしていた事業計画が驚くほどスッキリと見えてくるはずです。

前向きな視点を持って、新しいビジネスチャンスを掴みにいきましょう!

 

この記事を書いた人

系統用蓄電池情報局 編集部

系統用蓄電池・電力市場・再生可能エネルギーを専門とする編集チームです。最新の市場動向から基礎知識まで、わかりやすく発信しています。