コラム

2026年07月21日

再生可能エネルギーを支える「出力制御」と「系統用蓄電池」の関係とは?

太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの導入がどんどん進んでいます。
環境に優しく、脱炭素社会に欠かせない存在ですが、実はその裏側では「電気を安定して届けるための調整」がとても重要になっています。

そこで今、大きな注目を集めているのが「出力制御」と「系統用蓄電池」です。

今回は、この2つがどのように連携し、日本の電力を支えているのかを分かりやすくご紹介します。

「出力制御」ってなに?

出力制御とは、簡単にいうと、

「発電しすぎた電気を一時的に止める仕組み」

のことです。

電気は「作る量」と「使う量」が常に一致していなければなりません。

もし発電量が多すぎると、

  • 送電線に負荷がかかる
  • 周波数が乱れる
  • 停電リスクが高まる

など、電力系統全体が不安定になってしまいます。

そのため、需要より発電量が多くなった場合には、電力会社が太陽光や風力発電に対して「発電を少し止めてください」という制御を行います。

これが「出力制御」です。

なぜ再エネは出力制御が必要になるの?

太陽光や風力は自然エネルギーなので、

  • 晴れると一気に発電
  • 曇ると急減
  • 風が強いと大量発電

という特徴があります。

特に春や秋の晴天日は、

  • 太陽光発電量が多い
  • 冷暖房需要が少ない

という状況が重なり、電気が余りやすくなります。

さらに休日や大型連休は工場の稼働も減るため、出力制御が発生しやすくなります。

九州で増える出力制御

日本で特に出力制御が多い地域として知られているのが九州です。

九州は全国でもトップクラスの太陽光導入量を誇っており、再エネ比率が非常に高い地域です。

その一方で、需要を上回る発電が起こりやすく、2018年度には全国で初めて本土エリアで出力制御が実施されました。

その後も制御回数は増加しており、2023年度には年間136回、抑制電力量は12.9億kWhに達しています。

これは一般家庭約30万世帯分にも相当する規模と言われています。

出力制御の大きな課題

出力制御には系統を守る重要な役割があります。

しかしその一方で、

「せっかく作ったクリーンな電気を使えない」

という課題があります。

発電事業者にとっては、

  • 売電できない
  • 収益が減る
  • 発電機会を失う

という経済的損失にもつながります。

そこで期待されているのが、「系統用蓄電池」です。

系統用蓄電池が“余った電気”を救う

系統用蓄電池は、電力系統に直接接続される大型蓄電池です。

イメージとしては、

「電力網につながった巨大なモバイルバッテリー」

のような存在です。

電気が余ったときには充電し、不足したときには放電します。

つまり、

  • 出力制御されそうな余剰電力を蓄える
  • 必要な時間帯に再利用する

ことができるのです。

系統用蓄電池と出力制御の連携メリット

1.再生可能エネルギーを無駄なく使える

本来なら止められてしまう電気を蓄電池へ貯められるため、再エネ利用率が向上します。

これにより、

  • 発電ロス削減
  • 売電量増加
  • 発電事業者の収益改善

などのメリットが期待されています。

一部試算では、蓄電池活用によって出力制御を20%程度削減できる可能性もあると言われています。

2.電力系統が安定する

再エネは天候によって急激に発電量が変わるため、周波数変動が起きやすくなります。

系統用蓄電池は、

  • 瞬時に充電
  • 瞬時に放電

できるため、電力バランスをリアルタイムで調整できます。

これにより、電力系統の安定化に大きく貢献します。

3.CO2削減につながる

再エネを無駄なく活用できれば、火力発電への依存を減らせます。

その結果、

  • CO2排出量削減
  • 脱炭素推進
  • クリーンエネルギー拡大

にもつながります。

日本では今後さらに蓄電池が必要に

経済産業省の資料では、2030年までに日本国内で約30GW規模の蓄電池容量が必要になるとされています。

再生可能エネルギーが増えれば増えるほど、

  • 電力調整
  • 周波数維持
  • 出力制御回避

の重要性が高まるためです。

今後は、

  • 系統用蓄電池
  • EV
  • VPP(仮想発電所)
  • DR(ディマンド・リスポンス)

などが組み合わさり、より高度なエネルギーマネジメントが進んでいくと期待されています。

まとめ

再生可能エネルギーを本格的に活用していくためには、「発電すること」だけでなく、「どう安定して使うか」が非常に重要になります。

その中で、

  • 出力制御
  • 系統用蓄電池

は、日本の電力システムを支える重要な技術になっています。

余った電気を無駄にせず、必要なときに賢く使う。

そんな新しいエネルギー社会に向けて、蓄電池の役割はこれからますます大きくなっていきそうですね。

この記事を書いた人

系統用蓄電池情報局 編集部

系統用蓄電池・電力市場・再生可能エネルギーを専門とする編集チームです。最新の市場動向から基礎知識まで、わかりやすく発信しています。