コラム

2026年07月24日

セメント価格高騰が直撃! 系統用蓄電池の「基礎工事コスト」が急増している理由とは?

系統用蓄電池(BESS)というと、多くの方は「バッテリー性能」や「AI制御システム」といった最先端技術に注目しがちです。

しかし今、実際のプロジェクト現場で大きな課題となっているのは、意外にも“コンクリート”です。

2025年春の大幅な値上げ以降、生コンクリート価格は高止まりを続けており、2026年現在、蓄電池導入コストに深刻な影響を与え始めています。

今回は、なぜ系統用蓄電池とセメント価格が密接に関係しているのか、そして事業者が今後どのような視点で計画を立てるべきなのかをわかりやすく解説します。

なぜ蓄電池に大量のコンクリートが必要なのか?

系統用蓄電池は、実は“超重量級設備”です。

一般的な20ftコンテナサイズの蓄電池ユニットでも、1台あたり30トンを超えるケースは珍しくありません。

そのため、設置には非常に強固な基礎が必要になります。

具体的には、

・地盤改良工事
・厚みのあるベタ基礎
・耐震対策
・防火壁の設置

など、多くの土木工事が必要となり、そこに大量の生コンクリートが使用されます。

つまり、蓄電池事業は「電気設備」であると同時に、「大型建設プロジェクト」でもあるのです。

2026年現在、生コン価格はどうなっている?

結論から言うと、「高止まりしたまま、さらに上昇する可能性が高い」という状況です。

2025年春には、生コンクリート価格が1トンあたり2,000円超値上げされ、その影響は現在も続いています。

さらに、

・燃料価格の高騰
・ドライバー不足
・物流コスト増加
・ミキサー車不足

などが重なり、特に郊外や山間部では輸送費の負担も急増しています。

最近では、「予算はあるのに生コンが確保できない」というケースも増えており、工期遅延リスクまで問題視されています。

見積もりが“数年前のまま”では危険

特に注意したいのが、過去の単価感覚で事業計画を立ててしまうことです。

2〜3年前の概算見積もりは、現在ではほとんど通用しないケースもあります。

さらに一部地域では、2027年に向けて追加値上げが検討されているとも言われており、今後のプロジェクトでは“さらなるコスト上昇”を前提にしたシミュレーションが必要になっています。

「バッテリー価格」より重要になりつつあるもの

これまで系統用蓄電池事業では、

「いかに安く蓄電池を調達するか」

が最大のテーマでした。

しかし現在は、

「いかに建設コスト変動をコントロールするか」

が事業成功の大きなポイントになっています。

基礎工事コストが収益を圧迫する時代へ

以前は、基礎工事費の中心は人件費でした。

ところが現在は、生コンそのものの価格上昇によって、「材料費」の割合が急激に増えています。

特に大型蓄電所では、

・設置面積が広い
・基礎が大型化する
・防火設備が増える

といった理由から、平米あたりのコスト上昇が収益性へ直接影響する構造になっています。

工期遅延=利益減少につながる

もう一つ見逃せないのが、「時間のコスト」です。

仮に基礎工事が1か月遅れれば、その分だけ蓄電池の運転開始も遅れます。

つまり、

・売電収益の開始が遅れる
・容量市場収入が後ろ倒しになる
・投資回収期間が延びる

という形で、間接的な損失が発生します。

現在はミキサー車や施工人員の不足も深刻化しており、「工事そのものを予定通り進められるか」が重要な経営課題になっています。

これからの蓄電池事業に必要な考え方

2026年現在、系統用蓄電池の導入は単なる設備購入ではありません。

むしろ、

「大型インフラ建設+エネルギービジネス」

として捉える必要がある時代に入っています。

そのため今後は、

・土木コストを含めた事業収支設計
・長期的な資材価格予測
・施工会社との早期連携
・工期遅延リスクの織り込み

など、“建設プロジェクト視点”での計画が不可欠になります。

まとめ

系統用蓄電池市場は今後さらに拡大していくと期待されています。

一方で、足元では生コンクリート価格高騰という新たな課題が、事業収益へ大きな影響を与え始めています。

これからの蓄電池事業では、

「どの蓄電池を選ぶか」

だけではなく、

「どう建てるか」
「どう施工コストを管理するか」

が、利回りを左右する重要なテーマになっていきそうです。

再生可能エネルギー時代を支える系統用蓄電池。その未来を安定して支えていくためには、“土台づくり”の重要性が、これまで以上に高まっているのかもしれませんね。

この記事を書いた人

系統用蓄電池情報局 編集部

系統用蓄電池・電力市場・再生可能エネルギーを専門とする編集チームです。最新の市場動向から基礎知識まで、わかりやすく発信しています。