コラム

2026年07月17日

電気の新しいカタチ!私たちが主役になる「ディマンド・リスポンス」って?

未来の電力を支える「ディマンド・リスポンス(DR)」とは

私たちが毎日当たり前のように使っている電気。これまでは、電気をたくさん使う時間帯に合わせて、発電所側が発電量を増やすことで需給バランスを保ってきました。

しかし近年、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが急速に広がったことで、電気の世界に新しい考え方が登場しています。

それが「ディマンド・リスポンス(DR)」です。

ディマンド・リスポンス(DR)って何?

ディマンド・リスポンスとは、電気を「作る側」だけでなく、「使う側」も協力して電力バランスを調整する仕組みのことです。

例えば、

  • 電気が足りなくなりそうな時は使用量を少し減らす
  • 太陽光発電が多すぎる時は蓄電池へ充電する
  • EV(電気自動車)の電力を活用する

といった形で、需要側が柔軟に動くことで電力網を安定させます。

つまり、私たちの日々の電気の使い方そのものが、電力システムを支える役割を持つようになってきているのです。

エネルギーの調整役「アグリゲーター」

この仕組みの中で重要な役割を担っているのが、「アグリゲーター」と呼ばれる存在です。

アグリゲーターは、

  • 家庭用蓄電池
  • EV
  • 工場設備
  • 空調機器

など、各地に分散したエネルギー設備をまとめて管理し、電力会社と連携しながら電気の需給調整を行います。

いわば、エネルギーを賢くコントロールする“司令塔”のような存在です。

2022年夏の「電力ピンチ」でも活躍

2022年の猛暑では、東京エリアで「需給ひっ迫注意報」が発令され、大きな話題になりました。

この時にもDRが実際に活用されています。

複数のアグリゲーターが企業や施設に対して節電協力を呼びかけ、その代わりに報奨金や電気料金割引を提供しました。

こうした取り組みにより、短期間で電力需要を抑えることができ、停電リスクの低減に大きく貢献したのです。

再生可能エネルギー時代に欠かせない存在へ

太陽光や風力は環境に優しい一方で、天候によって発電量が大きく変わるという特徴があります。

そこでアグリゲーターが各地のエネルギーをまとめて管理することで、全体のバランスを整えています。

例えば、

  • ある地域が曇りでも別の地域が晴れている
  • 蓄電池を組み合わせて不足分を補う
  • AIが需要を予測して自動制御する

といった形で、再エネの弱点をチームプレーで補っているのです。

「地域で作って地域で使う」未来へ

今後は、大規模発電所だけに頼るのではなく、地域ごとにエネルギーを融通し合う「分散型エネルギー社会」が広がっていくと期待されています。

特に注目されているのが「地域マイクログリッド」です。

これは、地域内で発電した電気を地域内で消費し、災害時にも自立運転できる仕組みのことです。

DRやアグリゲーターは、こうした地域エネルギーの安定運用にも大きな役割を果たしていきます。

まとめ

これまでの電力システムは、「発電所が頑張る時代」でした。

しかしこれからは、私たち一人ひとりの電気の使い方も、エネルギーを支える重要な力になっていきます。

再生可能エネルギーが広がる時代だからこそ、電気を「賢く使う」仕組みがますます重要になります。

ディマンド・リスポンスは、そんな未来のエネルギー社会を支える、新しい主役のひとつなのかもしれません。

この記事を書いた人

系統用蓄電池情報局 編集部

系統用蓄電池・電力市場・再生可能エネルギーを専門とする編集チームです。最新の市場動向から基礎知識まで、わかりやすく発信しています。