コラム

2026年05月12日

電気をつくる本当の値段は?発電コストの裏側と「隠れた費用」

今回は分かっているようでわかっていない電気についてのお話です。

私たちが毎日当たり前のように使っている電気ですが、一体どれくらいのコストがかかっているのでしょうか?

日本のエネルギー政策においては、「安全性」を大前提とした上で、「安定供給」「経済効率性」「環境への適合」のバランスをとりながら、複数の電源を組み合わせて使うことが非常に重要とされています。

今回は、このうちの「経済効率性(コスト)」[1]に焦点を当てた、電気づくりの裏側を読み解いてみましょう。

 「発電コスト」はどうやって計算するの?

様々な発電方法のコストを公平に比較するため、検証では国際的にも使われている「モデルプラント方式」という計算方法が採用されています。

これは、更地に新しい発電設備を建設したと仮定し、そこから生み出される電気1kWhあたりのコストを算出するものです。この発電コストには、発電所の「建設費」や「燃料費」はもちろんのこと、人件費や修繕費などの「運転維持費」も含まれています。

さらに、CO2対策費や事故リスク対応費用などの「社会的費用」、原発立地地域への交付金といった「政策経費」まで、あらゆる費用が盛り込まれています。

 電源ごとに違う「コストの中身」

計算されたコストの中身を分解すると、発電方法ごとの特徴がよくわかります。

例えば、石炭やLNG(液化天然ガス)を使った火力発電は、コスト全体の中で「燃料費」と「CO2対策の社会的費用」が大きな要因となっています。 一方、原子力発電には、福島第一原発事故を受けた賠償・除染費用や、厳しい新規制基準を満たすための追加的な安全対策費などが「社会的費用」としてしっかり組み込まれています。

そして、脱炭素の主役である「再生可能エネルギー」です。

 再エネ導入のもう一つの壁「統合コスト」

「太陽光が安くなるなら、どんどん増やせばいいのでは?」と思うかもしれません。

しかし、ここにもう一つの課題があります。 太陽光や風力は天候によって発電量が変動するため、そのままでは電力が不安定になってしまいます。そのため、電気が足りない時は火力発電を動かして補い、余った時は揚水発電(ダム)に水をくみ上げてやり過ごすといった「需要と供給のバランス調整」が欠かせません。 こうした調整にかかる費用や、電力網(系統)の制約に対応するための追加費用は「統合コスト」と呼ばれています。

つまり、再エネ単体のコストが安くなっても、電力システム全体に受け入れるための追加コストが膨らんでしまう側面があるのです。

 バランスの良いエネルギーミックスを!

電気をつくるコストは、単に発電所を建てる費用だけではありません。目に見えにくい社会的リスクや、電力網全体を安定させるためのコストも含めて、総合的に考える必要があります。

それぞれの発電方法の長所と短所、そしてコストの仕組みを正しく理解し、バランスよく組み合わせていくことが、私たちの豊かな生活を守る鍵となるのです。

当たり前のようにある電気の大切さや使い方を今一度よく考えていきたいですね♪

 

 

1. 経済産業省 令和7年2月発電コストワーキンググループ 『資料1 発電コスト検証に関するとりまとめ』参照

この記事を書いた人

系統用蓄電池情報局 編集部

系統用蓄電池・電力市場・再生可能エネルギーを専門とする編集チームです。最新の市場動向から基礎知識まで、わかりやすく発信しています。